平成27年6月30日火曜日、遂に祁答院バス最後の日を迎えました。
朝一番から追いかけたかったのですが、仕事の都合で10時過ぎに祁答院町へ。昨日Cコースに乗車した際に「良い風景だなぁ」と感じた「仁八」停留所へと車を走らせます。朝のうちは曇り空だったのですが、祁答院町内に入る頃には雨粒が落ちてきました。雨空の影響で残念ながら昨日の景色とはちょっと違いました。
「仁八」へと来たバスはバックで横道へ。
火曜日のCコース「木場下」行きはこれが最終便。イコール「仁八」停留所最終便なのです。もう二度とここにはバスはやって来ません。
方向転換をして、今来た道を戻ります。担当運転士さんがわざわざ止まって「はよ来たね」(早くに来たね)と声を掛けて下さいました。
「木場下」までの最終便が、回送で帰って来ました。どこに写ってるのかって?
ぐらいの写真ですけれど。
Cコース「新屋敷」付近(回送便)。前の写真と同じ撮影位置からです。
Bコース「中福良公民館前」付近(中武公民館下行き)。後追い写真ですが、乗客が多いように感じました。
それにしても、雨空が恨めしいのです。晴れていれば背後の山並みが美しい所なのですけれど。
「滝聞東」(たきぎひがし)付近(中武公民館下行き)。やはり多くの乗客の姿を確認できました。前日に担当運転士さんとの会話で
「中武ん氏は、まとまいがあっせ、ないかとはずんとよ~」
(中武の人々は、まとまりがあって、なにかと盛り上がるのよ~)
と伺っていました。もしかするとですが、集落の方々が皆で最後のバスを利用して下さったのかなと。そうだとしたら嬉しいのですが。
走行風景の撮影はこれまで。午後からの最終便に乗車するために、一旦大小路に戻ります。
「大小路」から市内横断シャトルで祁答院へと向かいます。この横断シャトル、川内駅から東郷・祁答院コースと、樋脇・入来コースがありますが、どちらも150円で乗車出来る、実にコストパフォーマンスの優れたコミュニティバスです。是非多くの方に利用して頂きたいのです。
「大村農協前」(横断シャトル・いわさきバスネットワーク、当時)「JA大村支所前」(祁答院バス)で下車。ほんの少しのタイミングの違いで、大村商店街へと向かう祁答院バスが!しまった!これはノーマークでした。
徒歩で「大村温泉」へ。横断シャトルと祁答院バスがしばし休息。この並びも、もう二度と見ることはできません。
そして祁答院バス廃止を教えてくれた、Iさんが仕事の合間を縫って駆けつけて下さいました。最終便発車までの間、世間話とバス談議で付き合って頂きます。
いよいよ15時30分、祁答院バス最終便の発車時刻です。始発からは私のみ乗車、Iさんは仕事の都合で乗車できず、お見送りをして下さいました。
すぐ次の停留所「祁答院診療所」で、おば様二人が乗車。常連さんのようです。
県道に出てすぐ、バスの行く先の路上を体長1mほどのイノシシが爆走!こんな明るい時間に、しかも大村地区のほぼ中心部に出てくるとは。近くに小学校もあり、下校時刻と重なるため何事もなければと、ちょっと心配です。
おば様二人は「JA大村支所前」で下車。この区間、診療所とJA支所のお互いの建物は見えていて、実際に歩いても3分ほど。それでも診療所に通うお年寄りにとっては、歩くよりバスが便利なのですね。
再び私だけを乗せたバスは「小牧」「黒木」の循環コースへ。途中の沿道では伐採した木材を積み込む大型特装車が作業中。山深さを感じます。
「小牧」停留所の辺りでは
「ここ辺りの氏も、かねては乗いやったっどんね、雨やったで出てきやらんかったなぁ」
(この辺りの人も、いつもは乗るんだけれどね、雨だから外出しなかったなぁ」
と、担当運転士さんも少し寂しげです。
循環区間をひと回りして、再び大村へと戻り「JA大村支所前」へ。JAの資材倉庫に寄り添うようにベンチが置いてあり、先程下車したおば様二人が待っていました。
運転士さんはグイッとハンドルを切り、県道から倉庫の軒下へ進入、ベンチのそばまでバスを付けます。足の悪い乗客を気遣っての運転、この距離感がコミュニティバスの良さと感じます。
おば様達はバスが循環して戻るまでのおよそ20分の間に、Aコープで買い物を済まされていました。なるほど流石です。
旧宮之城町との境に接する「井出元橋」で一人下車。それぞれに「ありがとう」の挨拶でお別れです。
「枯木野下」ここも盲腸線で、県道から脇道に入り込んだ2~3軒の民家の為だけの停留所です。運転士さん曰く「この道ももう二度と来ることもなかろう。」
「竜仙館」を車内から。そうめん流しのシーズンを目前にバスはもう来ません。
(市内横断シャトル、樋脇・入来コースで「竜仙郷」下車、停留所は県道沿いにあるため、5分程歩きます。)
「のぞみ園」は敷地内に進入しますが、常連のおば様が「ここも最後まで乗り降りが無かったねぇ・・・」と。
「祁答院バスが走り始めた頃は、乗り切れないぐらい一杯だった。」とか「デマンドはどんなふうな仕組みなんだろう」と不安も感じている様子など、色々なお話を聞かせてくれた常連のおば様も、石坂団地で下車。「お世話になったねぇ、またお会いしましょう。」お別れのご挨拶。
車内はまた私一人となってしまいました。
蒲生町内の松川内地区。(その7)で既出の場所です。
そして終点「大瀬戸」に到着。私も祁答院バス全コースの完乗達成です。
最後に撮影をさせて頂きました。お礼を言って見送ります。
涙雨の中、特別なセレモニー的な事も無く、祁答院バスはその歴史に幕を降ろしました。